「アジアの力を日本へ届ける」コンサルタントの中西です。
2016年10月26日に京都にて「介護と外国人の未来を考える」という介護関連事業者向けのイベントを一般社団法人国際高度人材開発センター様と開催しました。
当日は50名近くの介護関連事業者様にご参加いただき、外国人人材によるプレゼンテーションや活発な意見の交換を行いました。
今回のイベントは人材の受け入れ先であり、外国人人材の育成に尽力いただいている、社会福祉法人市原寮様の施設(花友いちはら)を解放いただきました。
このイベントは企画段階では外国人人材の実態、現状などを広く理解してもらおうための啓蒙活動という趣旨が強かったのですが、しかし、開催の数日前に外国人に対する介護福祉士の在留資格を認める法案が衆院を通過し、今国会での入管法改正、技能実習制度の改正に伴い、急遽一部内容を変更し今までに述べ1万人ほどの外国人技能実習生の管理を行ってきた監理団体である公益財団法人日中技能者交流センター(アジアヒューマンリソースデベロップメントセンター)様にお越しいただき、技能実習制度の今後の見通しなどをお話しいただきました。
今回来日を果たした3名のフィリピン人トレーニング生は、いわゆるEPAの留学コースとほぼ同一の内容を、民間版事業として行い来日をしました。
国が行うEPAと違う点は、全て民間の管理で行っているという点です。
この民間主導で行う利点は事業内容や結果が見えやすく、かつコストが安いという点です。
定期的に行っている今回のようなイベントは、結果の透明性を保つためと事業に対しより深い理解をしていただくために開催しています。
結局今回来日を果たし、学業と施設との仕事を両立しているトレーニング生の何がすごいのかと言うと、
- 日本に来日前に日本語レベルN3以上、そしてN2レベルに到達したトレーニング生がいるということ。
- フィリピン国ブラカン州の州知事の推薦状を受けていること。
主にこの2点がこのトレーニング生が、EPAなどで来日している外国人の方々と違います。
彼女たちは日本に来た段階で完璧とは言いませんが、一般的な仕事ができるレベルまで日本語ができるというのが特徴です。
さらに人材育成側のフィリピン国ブラカン州では彼女たちへ州知事より推薦状を発行し、州としてできる限りのバックアップと身元の保証を行ってくれているという点は、来日する彼女たちにとっても襟の正される事であり、中途半端は出来ないという、いい意味でプレッシャーを持つ事になります。
学業と施設での仕事の合間を縫って、全て自分たちでプレゼン資料(日本語)を作り、30分ほどのプレゼンを全て日本語でこなしました。
50名以上の介護のプロを前に、日本の介護制度についてなど専門的な知識を含んだプレゼンテーションができるというのは、介護の知識に乏しい私から見ても凄いと感じました。
なぜ彼女たちがそのような専門的な知識を日本に来てたった3か月間で、さらに介護の仕事に従事していたわけでもないのに披露できるのか?
その理由は彼女たち全員、フィリピンでナースの資格を持ちかつ現場で活躍をしていたからです。
介護と看護では共通する知識が必要で、さらに看護の知識は介護よりも深く医療の知識も必要になります。
そのような彼女たちのバックグラウンドの知識が、日本の介護の現場でも必要とされ通用している証拠だと思います。
プレゼン終了後は彼女たちへの質疑応答が行われました。
目立った質問内容は、「どこでプレゼンの内容のような専門知識を得たのか?」という内容が目立ちました。
その理由は、前記したように彼女たちがそのような知識のベースをもともと持っているからです。
プレゼンテーションの後は、トレーニング生たちに来場者の方々を施設の案内をしてもらいました。
該当の施設はユニット型の施設で、トレーニング生は全員バラバラの現場へ配属され入所者様のお世話をしています。
チームリーダからのトレーニング生の評判は上々で、とても仕事の吸収が早く、今では他の現場へもヘルプに行ってもらっているとのことでした。
彼女たちが何故即戦力として現場で活躍できるのかの理由として、日本語(漢字)の読み書きができる。
という点があります。
介護や医療の現場では、毎日申し送りがあります。 この申し送りをするには漢字の読み書き能力が必須となります。
海外での日本語教育の現場では通常は会話能力を重視しがちですが、当プロジェクトでは読み書きを重要視し、現場力がつくようトレーニングプログラムを組みました。
なぜ当プロジェクトでは読み書きの能力を重要視して早期からそのようなトレーニングプログラムを導入できたのかというのは、人材を必要としている日本の現場からの要望をしっかりとヒアリングし、介護関連事業者とともにプロジェクトを作ってきたからです。
一般的に漢字圏である中国の方が日本語検定などの点数が高く取れる傾向にあるのは、漢字が出来るという点が非漢字圏の国の方よりも能力的に有利だからです。
彼女たちのような人材が非漢字圏のフィリピンで育成できたという事は、大きな可能性の証明ができたと思います。
最後に、今後の技能位実習制度の見通しについて公益財団日中技能交流センター(HRD財団) 山口常務から参加者へ説明と質疑応答が行われました。
このブログを書いている段階ではまだ法律の正式決定前なので、細かい内容についてはブログでの記載は避けたいと思います。
もし外国人人材の活用にご興味のある方は、個別での面談を行っていますので、電話またはメールフォームよりご連絡いただけると幸いです。
このような外国人育成のプロジェクトに京都府老協に賛同頂きご参加いただきました。
荻野会長からは京都府老協としてもこのような有意義なプロジェクトを支援していきたい、と暖かい励ましのお言葉を頂きました。
最後に閉会の挨拶として、一般社団法人国際高度人材開発センターの理事であり、みねやま福祉会の理事長である櫛田理事長にご挨拶をいただきました。
櫛田理事長は当プロジェクトの立ち上げ時からフィリピン人材の可能性に賛同頂き、現時点まで様々支援をして頂いています。
これからも定期的にこのようなイベントを開催しますので、ご興味のある方は、メルマガ登録もしくは問い合わせフォームよりお問い合わせください。
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